ウクライナへのロシア侵攻に対するゼレンスキー大統領のEU議会演説を日本語訳でお読みください。
ゼレンシキー大統領の欧州議会での演説:日本語訳。消えてしまうかもしれませんので、全文を引用しておきます。ロシアによるウクライナ侵攻。EU議会にウクライナ救援を訴える大統領の言葉は重い。
ゼレンシキー・ウクライナ大統領の欧州議会での演説全文(3月1日)
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ゼレンシキー・ウクライナ大統領の欧州議会での演説(3月1日)日本語訳
3月1日、ゼレンシキー・ウクライナ大統領は、欧州議会にオンラインで出席し、演説を行った。全文は以下のとおり。
どうもありがとう! 親愛なる出席者よ。知っているだろうか。私はここ数日、どのようにあなたに正しく挨拶したら良いのかわからない。なぜなら、私は今、「良い朝ですね」とか「今日は良い日ですね」とか「良い晩ですね」とは言えないからだ。言えない。それが絶対的な真実だ。なぜなら、毎日、誰かにとってその日が確実に悪い日であり、毎日誰かにとって確実に最後の夜となるからだ。私は、今日、今、自らの命を代償にして、自由を守っているウクライナの人々のことを話す。
私は、ここで、そのように団結した感情を見ることができて、非常に嬉しい。私は、私たちがあなたたち皆を、欧州連合(EU)の国々を団結できたことが嬉しい。しかし、私は、それにこのような代償が必要だとは思っていなかった。そして、これは私にとっての悲劇であり、ウクライナ人一人一人にとっての悲劇であり、全ての国にとっての悲劇である。
ご存知だろうか。私は今、プリントを読んでいるのではない。なぜなら、私たちの国では、紙の時代は終わったからだ(編集注:国家機関の業務に紙を使用しない、ペーパーレス法が採択済)。
亡くなった人たちは、皆本当の命だ。私は、私たちは価値、権利、自由のために人々の命を捧げていると思っている。あなた方と同じでありたいという願いのために、最良の人々、最強の人々、すばらしいウクライナの人々を捧げているのだと。
私たちは、「私たちは皆勝利する」としょっちゅう話している。あなた方がそのことについて述べるだけでなく、それを目にしていることを、私はとても嬉しく思う。私たちは、皆必ず勝利する。私はそう確信している。「ウクライナの欧州の選択」という表現がある。それは、私たちが望んだことであり、向かってきた目標であり、向かっていく場所のことだ。私は、あなたたちから「欧州によるウクライナの選択」という表現が聞けることを強く望んでいる。
私は、あなた方との話のために数分間しかない。なぜなら、小さな銃撃やミサイル攻撃があるからだ。今朝は、私たち皆にとっての悲劇だった。2発の巡航ミサイルがハルキウに着弾した。ロシア連邦との国境近くの街であり、そこには非常に多くのロシア人がいて、彼らは仲良くしていたし、いつも温かい関係があった。その街は、20の大学があり、私たちの国で最大数の大学がある中心地である。私たちの国で最も大きな広場があり、そこではお祝い事があると、素敵で賢い若者たちがいつもそこに集まった。その広場は、「自由広場」という。それは欧州で最大の広場でもある。自由広場だ。そして、想像して欲しい。今朝、2発の巡航ミサイルがその自由広場に着弾したことを。数十人の犠牲者が出た。それが自由の代償である。
私たちは、単に自分たちの大地と自分たちの自由のために闘っているだけだ。信じて欲しい。今、私たちの国の全ての大都市が封鎖されているにもかかわらず、誰も私たちの自由と国の中には入れない。信じて欲しい。今日、どんな広場も「自由広場」と呼ばれるだろう。私たちの各町においてだ。誰も私たちを壊せない。私たちは強い。私たちはウクライナ人だ。
私たちには、子供が生き続けていく、という願いがある。思うに、それは正直な気持ちだ。昨日は、16人の子供が亡くなった。そして、プーチン大統領はまたしても「何らかの作戦が行われている、私たちは軍事インフラを攻撃している」などと言うだろう。私たちの子供がどこにいるというのだ? どんな軍事工場で子供が仕事をしているのだろうか? どんなミサイルに乗って働いているというのだ? 子供たちが戦車に乗っているとでも? お前は16人の子供を殺したんだ!
私たちは、非常にやる気のある民だ。非常に。私たちは、私たちの権利、自由、命のために戦っている。今、私たちは生き延びるために戦っている。それが私たちの最大のやる気だ。しかし、私たちは、欧州の平等なメンバーとなるために戦っている。私は、今日、私たち皆が、私たちは平等なのだということを示せると思っている。EUは、私たちと一緒になればもっと強くなる。ウクライナは、あなた方抜きでは孤独だ。私たちは、自らの力を証明した。私たちが、少なくとも、あなた方と同じであるということを証明した。
あなた方には、私たちとともにあるということを証明して欲しい。あなた方が私たちを手放さないということを示して欲しい。あなた方が本当に欧州人であるということを。その時、命は死を克服する。
世界は、闇に勝つ。
ウクライナに栄光あれ!
このゼレンスキー大統領による欧州議会での演説効果は、大きく、流れがウクライナ応援の方に傾きました。
自分たちの大地と自分たちの自由のために戦っている。そして、欧州の平等なメンバーとなるため。そういった欧州共通の価値観への訴えは、かつてのケネディ氏などにも通じるものがあります。ゼレンスキー大統領の言葉は、心動く名演説だと思います。
そして、EUをはじめ世界は、ウクライナとともにあるということを証明してほしいと突きつけられました。
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の演説に対する反応
>RT このツイートが分かりやすい。ウクライナの申請を受理しただけで、加盟を承認したわけではない。ただ、先程のEU議会でのゼレンスキー大統領の演説に対する各国の反応を見る限りでは加盟も近いうちに承認されるのではなかろうか…。
— 鳳至 (@hugeshi_huratto) March 1, 2022
【ストッププーチン】EU議会でのゼレンスキー大統領の演説の動画だ。惨状を伝える演説に通訳者は声を詰まらせる。非人道的なナチス的戦争行為を眼前に、NATOとどっちもどっち、プーチンと妥協せよというハシモトを許すな。株武装論を擁護するアベとマツイを政界から追放せよ。https://t.co/QODjS1ACXy
— 金子勝 (@masaru_kaneko) March 2, 2022
武力で劣るウクライナのゼレンスキー大統領は、言葉の力で対抗。
ゼレンスキー大統領のロシア市民向け演説
ウクライナはナチスだと言いますが、ナチスに対する勝利のために800万人以上が命を捧げたウクライナにナチスを支持する国民がいるのですか?
ソ連の歩兵として戦い抜き、独立したウクライナで大佐として死んだ私の祖父に言ってください https://t.co/hJ6XdxoFA3
— mssn65 (@jpg2t785) February 24, 2022
ドラマ:国民の僕から政治家へ
ドラマ「国民の僕」の流行によって、国民の間では作中で描かれた主人公とゼレンスキーを重ね合わせ、現実の大統領選挙への出馬を期待する動きが起きた。2018年、ゼレンスキーは期待に応えて来年の大統領選出馬を声明した。
2019年の大統領選には過去最大となる44名もの候補者が乱立しており、有力候補はオリガルヒ出身のペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相という現在のウクライナ政界の混沌を現した状態となった。そうした中、ゼレンスキーは「第95街区」のメンバーらとドラマのタイトルを冠した政党「国民の僕」を立ち上げ、「作品の続き」をイメージした宣伝を開始した。選挙活動面では政治集会や討論会などは挑まず、原作の展開と同じくインターネット上での呼びかけを集中的に行っている。主人公が作中で国民に呼びかける際に口にする「親愛なるウクライナ国民へ」も多用されている。
かつて、米国も俳優のロナルド・レーガン氏が大統領になりました。彼も俳優に何ができるのか?という疑いの目と戦いましたからね。ゼレンスキー大統領の同じく、歴史的な演説で、世論を大きく動かすことに成功しました。